脊椎動物の中枢神経系(CNS)とその無脊椎動物の親類、頭索動物(両生類)やツナギの比較により、脊椎動物CNSの進化が明らかにされた。 微小解剖学と遺伝子発現から、脊索動物の祖先の神経系は現代の両生類に近いものであったと思われる。 しかし、脊索動物の中枢神経系の進化的起源については、まだコンセンサスが得られていない。 Ambulacraria(棘皮動物および半索動物)と脊索動物の共通祖先が、脳を持つ中枢神経系、半索動物のような神経索、あるいは神経網を持っていたかどうかは議論のあるところである。 もし、この祖先が脳を持つ縦方向の中枢神経系を持っていたとしたら、それは棘皮動物で失われ、棘皮動物は独自に5本の橈骨神経を進化させたことになる。 さらに問題を混乱させるのは、半索動物には2本の神経索があるが、この神経索には神経細胞が少なく、脳がないことである。 刺胞動物と両生類で保存されている遺伝子発現から、神経網が中枢神経系の祖先であることは間違いないが、両生類の祖先が神経網を持っていたのか、それとも脳を持つ神経索を持っていたのかは、まだ議論が続いている
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