アジア全域の酸性沈着とその環境影響に関する知識の現状をレビューし、統合したものである。 アジアにおける酸性沈着物の範囲と規模が明らかになったのは、この問題がヨーロッパや北米で十分に説明された後の約10年後のことである。 温帯に加えて、東アジアと南アジアの大部分は熱帯と亜熱帯に位置している。この気候帯は、高負荷の酸性沈着物の影響に関してこれまでほとんど研究されてこなかった。 アジア全域の地表水は一般に酸性沈着物の影響を受けにくいが、一部の地域の土壌は鉱物の風化が少ないため酸性化の影響を受けやすい。 しかし、土壌の酸性化は、塩基性陽イオンの沈着、硝酸塩(NO3-)の脱窒、硫酸塩(SO42-)の吸着などのプロセスによって、ほぼ中和されていた。 近年、硫黄の沈着量が減少するのに伴い、アジアでは窒素の沈着がますます懸念されている。 水はけの良い熱帯・亜熱帯の土壌では、SO42-の吸着が高いため、N沈着による酸性化の影響はS沈着よりも重要である可能性がある。 東アジアでは広域の土壌酸性化のリスクは大きな脅威であり、広い地域で臨界負荷量を超えていることが示されている
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