地球の誕生と幼年期は、太陽系形成後数億年以内にコア、マントル、原地殻への大規模な内部再編を伴う重大な分化の時期であった。 また、原始地球の構成要素である微惑星において、鉄に富むコアの形成は、一般に太陽系形成後約300万年以内の非常に早い時期に起こったことが、物理的・同位体的証拠から示されている。 地球型惑星降着の最終段階は、コアが分離した水星から火星サイズの天体や惑星胚の間で、激しくとてつもないエネルギーを持つ巨大衝突が起こった。 衝突による加熱の結果、初期の地球は部分的あるいは全体的に溶融し、コアやマントルを形成する物質の間で高温高圧の平衡が起こる可能性が高くなった。 地球のシリケイトマントルは、鉄合金とシリケイトが深いマグマオーシャンに匹敵する条件で平衡化することにより、好鉄分であるNiとCoの存在比が調和的に保たれている。 深いマグマオーシャンの凝固には、高圧下での結晶とメルトの分離が関与していると考えられるが、その後のマントルの対流撹拌により、初期の層状構造はほぼ消滅した可能性がある。 しかし、始原的な上部マントル岩石には、超高圧マントル相の初期分化に関連すると考えられる非コンドライト的な主要元素・微量元素の耐火性岩石元素比が存在するらしい。 深部マグマオーシャンにおける結晶分画の地球化学的効果は、高圧実験によって部分的に制約を受ける。 原始対流マントルとバルク珪酸塩地球の組成モデルを比較すると、深部マントルは10-15%の分画で、Mg-perovskiteが主成分で、Ca-perovskiteとferropericlaseがわずかながら含まれ、地球化学的に重要であると考えられる。 このような結晶群の長期隔離は、現代の上部マントルにおける時間積分したSm/NdとLu/Hf比の同位体制約とおおむね一致し、いくつかのマントル同位体貯留層の特徴を説明することができるかもしれない。 地球形成の初期段階についてはまだ多くのことが分かっていないが、理論的、物理的、同位体的、地球化学的な議論が集約され、幼い地球の自己矛盾のない肖像が得られ始めている
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