ABSTRACT
遺伝子発現解析は、遺伝子発現を制御するネットワーク、機能不明遺伝子の役割、生物の環境応答などを調べるための共通の研究手段となっています。 遺伝子発現解析に用いられる分析ツールの多くは、再現性のある定量可能な結果を得るために、正確なcDNAの合成と定量に依存している。 これまでのところ、cDNAの単離・精製のための市販キットのほとんどは二本鎖分子を対象としており、転写産物の存在量を正確に表すことはできない。 本報告では、一本鎖cDNAを簡便かつ迅速に精製し、高い純度と収率を示す方法を提供する。 この方法は、cDNA合成後にRNase HとRNase Aで処理し、シリカスピンカラムで分離し、エタノール沈殿を行うものである。 また、本法はRNA調製時にゲノムDNAを除去するためのDNase Iを使用しないため、cDNAの収量が向上する。 事例として、病原真菌Sporothrix schenckiiの一本鎖cDNAの精製に本法が有用であることが証明された。
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