Abstract
1966-1973年に自然発症した胸部大動脈解離患者118人で、うち78人が急性解離、30人が慢性解離を経験した。 年齢(49歳 vs 60歳)と高血圧(32% vs 71%)は、解離が上行大動脈に発生した56人の方が上行大動脈に発生した52人よりも有意に少なかった。 急性上行大動脈解離の内科的治療を受けた患者の死亡率は88%であった。 心タンポナーデが主な死因であった. 外科的治療を受けた患者の死亡率は有意に低かった(24%)。 上行大動脈解離と有意な大動脈弁閉鎖不全を有する患者のうち15例(54%)は大動脈弁置換を行わず、その後弁置換を必要としたのは2例(53ヵ月後と92ヵ月後)だけであった。 内科的治療と外科的治療を受けた急性下行大動脈解離患者の初期死亡率は同程度であったが、長期生存率は外科的治療群の方が高かった。 上行大動脈解離と下行大動脈解離は、臨床プロファイルと予後が異なるという結論に達した。 急性上行大動脈解離の患者には、即時の外科的介入が必要である。 急性下行大動脈解離の患者には、まず内科的治療を行い、その後早期の選択的手術が可能である。